国土交通省 工事請負約款

本日は、令和2年4月1日から施行される民法の一部を改正する法律(債権法改正)について、建設業者様からご依頼をいただきましたので、建設業における民法改正のポイント、建設工事請負約款の改定について、講義をおこないました。

◆民法の一部を改正する法律(債権法改正)について(以下、法務省HPから抜粋)  
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_001070000.html

今回の民法改正は,債権関係の規定について,取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に,社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに,民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。

◆民法改正に伴う建設工事標準請負契約約款の改正について(以下、国土交通省HPから抜粋)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000092.html

改正の概要

(1)譲渡制限特約について
改正民法において、譲渡制限特約が付されていても、債権の譲渡の効力は妨げられないとされたところ。
譲渡制限特約は維持した上で、公共約款については、前払、部分払等によってもなお工事の施工に必要な資金が不足する場合には発注者は譲渡の承諾をしなければならないこととする条文、民間約款については、資金調達目的の場合には譲渡を認めることとする条文を選択して使用できることとした。
併せて、譲渡制限特約に違反した場合や資金調達目的で譲渡したときにその資金を当該工事の施工以外に使用した場合に、契約を解除できることとした。

(2)契約不適合責任について
改正民法において、「瑕疵」が「契約の内容に適合しないもの」と文言が改められ、その場合の責任として履行の追完と代金の減額請求が規定されたことを踏まえ、約款も同様の変更を行った。

(3)契約の解除について
改正民法において、瑕疵に関する建物・土地に係る契約解除の制限規定が削除されたことや双方の責めに帰すべき事由でないときであっても契約を解除できることとされたことを踏まえ、催告解除と無催告解除を整理した上で契約解除を規定し直した。

(4)契約不適合責任の担保期間について
木造等の工作物又は地盤や石造、コンクリート造等の工作物といった材質の違いによる担保期間は民法上廃止されたことを踏まえ、約款において契約不適合の責任期間を引渡しから2年とし、設備機器等についてはその性質から1年とした。
※ 引渡しから2年(設備機器等1年)の期間内に通知をすれば、通知から1年間は当該期間を過ぎても請求可能。

 以上

(記;行政書士奥島要人)